心の灯火

a message for you 〜聖書への手引きとしてお役に立てれば幸いです〜

文化の相違と普遍性

『現代思想の教科書』という本があるのですが、この本の第12章「宗教について」ーー宗教回帰を問うーー西谷修との対談の中に、このようなことが書かれたあった。それは、ルターの改革によって、現代の政教分離の概念が生じた、というもので、(ルターの改革というのは、調べればすぐにわかることですが、ローマカトリック教会による所与の制度による信仰のあり方からではなく、内面の信仰によって、罪が贖われる、と考えるもの)。信仰は、内面的なもの(信教の自由、宗教的領域)であり、そのことにより、公(政治的な領域)との分離が生まれ、今でいう、多文化理解というものが説明できる、ということを話されています。

 

そこで自由になった公を押し付けているのが今の国際政治等(欧米中心)であり、根本には、あえて言葉にしなくても当然の、プロテスタント的観念があると。そこを踏まえた上で、”共存だとか、相互理解を深めていかないと、宗教をめぐる錯誤に満ちた葛藤や軋轢が、現代の世界問題をますます難しくしてしまう” 懸念がある、と述べている。

 

最後の部分は、何を言おうとされているのか、解釈しきれていないところもありますが、要約すると、このようになるかと思います。関心をお持ちになられた方は、西村修氏の著作などをお調べになられると良いかと思います。

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最近、またある本も読みました。石黒マリーローズさんの書籍『キリスト教文化の常識』です。この著書と著者を知ったのは、フルオンライン制のIT系の大学の教養科目でした。レバノンからご結婚を機に日本に来られ、大学を含め、様々な文化的活動を日本でされておられるようです。彼女は、大変日本を気に入っておられるのですが、とても残念なことがある、それは、日本人は余りにもキリスト教について無知であると。それは、教え子の学生のみならず、様々な場面で遭遇すると言う。例えば、海外ニュースの通訳に対しても、それがみられて、心いたたまれなくなり、本書ではキリスト教の教義とかではなく、キリスト教の文化を紹介されています。

 

講義で十分かと思って、本までは買い求めることはなかったのですが、当ブログを書くにあたり、読んでみました(今は、紙媒体では、古書でしか手に入らず、Kindleで購入できるようになっています)。内容は、講義以上に詳しく、読む価値がありました。また、著者の話ぶりから主にカトリック寄りな内容になっているかと思いますが、カトリックプロテスタントの違いなどにも留意が必要かと思います。例えば、カトリックでは、教義に関しては統一見解というものが示されます。ニュースなどでもたまにありますね。バチカンが何何を認めました、などがそれだと思いますが、プロテスタントは、個人個人で解釈ができる、それが許される宗派のようです。ですから、様々な新興宗教が現れているわけですね。

しかし、これを読んで私は、「あぁ、神様は、この世に神の国を用意されていたのだ」と感嘆した次第でありました。それ以上のことはわかりません。内心の自由のもと、考察を深めたいと思います。

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世界には、それぞれに宗教があり信じる神があります。そして、様々な文化が形成されています。私は、それを、信仰の型だと考えていました。心で神様を感じる時、それは、万人共通の観念だと思っていました。ですから、国によって祈る形はそれぞれであって、仏教であれ、なんであれ、同じなのだと。それは、祈りの一つの型なのだと。であるならば、だからこそ、大航海時代から、未開の地へ宣教師が訪れて布教すれば、皆、土着の神とそれを同一することで、本当の神様として、受け入れたのでしょう。(ここで、「だと思っていた」とか、「考えていた」などの言い方をしていますが、それは、もちろんそういうこともあるでしょう。しかし一方で、本当に違う神様を拝んでいるかもしれないからです。一神教的立場から言えば、それは、邪教ということになるのでしょうが、はてさていかにーーー)。

 

キリストは、ユダヤの国において、十字架にかかることによって、人々の罪を贖い、新しい掟によって、人類に自由をもたらしました。(キリストは、ユダヤの戒律を破り、自分を神の子だと言って神を冒涜したとして罪人にされた。そして3日後に復活することで予言は成就され、キリスト教は広まった。ユダヤの戒律を破り、ユダヤの神を全人類の神とすることで、人と神を結びつけ、新し掟によって(新約聖書に記されている教え、予言)ユダヤの戒律から人々を開放した。よって人類に自由をもたらした、との解釈は当たっていますでしょうか?)。

これが、キリスト教の原点だと思います。これを知らずして、一方で文化の相互理解は難しいだろうと思う次第です。

あえて、口には誰もしませんが、無言の常識というのも理解しておく必要性はあるかと思います。